大館市片山町の庭

クリニック新設に伴う造園工事です。

ここは心療内科、精神科のクリニックです。

来院されてきた患者さんへ、造園で何ができるのか、プラン作成から竣工までずっと考えていました。

自分なりの答えは、意匠性や作為などは極力ださないこと、です。 

窓から見える風に揺らぐ枝。 木陰の中の散歩道。 季節で咲く花々。 下草の優しい香り。それさえあれば十分。

庭を見て少しでも気持ちを安らげることができればと思い、南側はシンプルな構成で、土壌改良をした5つの盛り土に雑木の寄せ植えをしました。

配置は、窓からバランスよく見えることと、散歩をより楽しくするために現場で進めながら決めていきました。

ウッドチップを敷いた面は柔らかく、割と普段硬い面しか歩かない我々にとって少し新鮮な感触ではないでしょうか。歩く足からも、自然や有機質を感じてもらえれば嬉しいです。

足下の植物はローズマリー、ラベンダー、タイム、その他たくさんのハーブを植えてあります。 香りによって気付きが生まれ、植物に興味を持ってくれたら、それも嬉しいです。

所々、食べられる実のなる木も植えてあります。 塀際にはブラックベリー、レッドカラント、ナツハゼ、ブルーベリー、ジューンベリーなどです。収穫の楽しみもあります。

トンネルの先に見える樹木は施主様希望のエドヒガンザクラ。

建物北側、入り口の看板周りは来院された方以外の人たちの目に触れる場所です。この二箇所については意匠性を少し含ませ、そして草取りメンテナンスを軽減するためにも地場産のグリ石を使い、雰囲気を明るくしています。

深岩石の門柱に取り付けたステンレス切り文字。

ま特に看板周りはボリュームを多めに植えてあります。 来院された方はもちろん、薬局へ来られたり、近くのバス停で待っている方、信号待ちで待っている方や歩く方たちにも楽しい、街中のオアシスのような役割を持っているのだと思います。

その役割を最大限に発揮できるよう、メンテナンスにも力を入れていきます。

ひだまりのこみちクリニック

建築 槌谷建一設計室