ここの庭をつくるにあたって、水が溜まるという課題をクリアする必要がありました。
ブロックの土留めにより雨水が行き場を失い、プールのようになってしまうためまずはブロックの解体からスタートしました。
土質的には、表土は砂で少し掘ると砂壌土といった具合で、水捌けはそこまで悪くはありません。大雨時、隣家からも流れてくる雨水が浸透する分を上回ってしまうためプールになっていたようです。
ブロックを解体し、なだらかな勾配により表面で道路へと排水してしまおうというイメージでプランニングしました。
車から降りた後の動線を考慮し、土間の延長でアプローチを設けました。アプローチと植栽帯の間には砂利で空白にし、雪を溜めておけるエリアにしています。アプローチは施主様からの希望のデザインを基に施工しました。ポーチや砂利の色合いとも調和が取れるよう、洗い出しは淡路砂利を用いています。
崩れた石が落ち着きつつある有りようを意識して、土留めとしています。
見た目としての景石、土留めとしての石組みのほか、草取りや花の植え替え時の足場にも使えます。
芝生エリアから流れてくる雨水を流すため、枯れ流れを設けました。
多孔質な石を使っているので、経年で苔がのってきます。
庭の中の明暗も意識した庭づくりとなりました。芝生やアプローチ周辺は明で、枯れ流れ周辺は暗です。
木陰や地形での陰影をつくるとそこに微気候が生まれ、体感は小さいものの涼しげなデザインとなります。
石の経年や苔の範囲、植物の成長など、変化し続ける庭は飽きません。今後はメンテナンスにより雰囲気を高めていきます。