この庭のテーマの一つである木陰。 大開口の窓への日射を和らげるよう落葉樹をメインに植栽しました。夏には多くの木陰を与え温度の上昇を抑えるだけでなく、風にそよぐ葉擦れにも心地よさを感ぜられるでしょう。 冬季には落葉することで、少ない日射を少しでも獲得できます。もちろん冬囲いも必要ありません。
山採り雑木の趣と調和するよう植栽スペースは緩やかな起伏としています。バーク堆肥でマルチングしてあるため雨などで地表が流れてしまうことを防ぎ、土壌の乾燥を抑えます。
直線を基調としたアプローチ脇は駐車スペース。 ここでも温度の上昇、蓄熱を抑えるべく、コンクリート土間ではなく、ノシバによる駐車スペースとしました。芝生にすることで雨が染み込み、呼吸することができます。
もう一つのテーマ、水辺。 使用可能な地下水があったため、ビオトープを設けました。 ここに棲みつく生物に優しいよう、防水材はベントナイトと呼ばれる粘土を用いました。 底には地場産ゼオライトを敷き詰めてあり、水の腐敗を防いでいます。 流木の樋から常時少量の水が流れていて、排水は地下深くに浸透していく仕掛けとなっています。 観察していると、野鳥が水浴びにやってきたり、トンボが産卵に来ます。夏には植え付けたスイレンがいくつか花を咲かせます。
木陰と水辺で住まいの心地よさをプラスできる庭となりました。 年数が経ち、植物たちが成長していけば心地よさも増えていく事でしょう。
使用樹木:ヤマモミジ ハウチワカエデ トネリコ マンサク ナツハゼ ツリバナ シャクナゲ レンゲツツジ ムラサキヤシオ ガマズミ
マユミ アオキ ツバキ
使用石材:御影石 大館産グリ石
建築: (有)西方設計
能代市