落葉樹の剪定

 剪定についての記事です。
 
 まずはじめに、剪定(病気の枝・枯れ枝の剪定を除く)は樹木にとってマイナス要素でしかないということを知って頂きたいです。健康に育てるのであれば、枯れ枝以外の生きた枝はいっさい切らず伸ばし放題にするのが正解です。何の制約もなければ剪定の必要はありません。
しかし空間に限りのある庭に植わっている樹木では、伸ばし放題というわけにもいきません。隣の敷地へ伸びていったり建物に接触したり、隣同士の樹木で絡んでしまったりするわけです。 剪定は、人と自然(植物)を取り持つ間に生まれた技術です。 庭や、都市部では最低限の剪定が必要であると考えています。  いかに樹木(人)への負担を少なく人(植物)と共生させるかが植木屋の存在意義です。少し重たいかもしれませんが、生き物を扱う仕事なのでそれくらいの心構えなしにはできません。 

 短くも輝かしい紅葉シーズンを終え、葉を落とした落葉樹にとって、芽吹きまでの葉が無い期間が剪定の適期であると私は考えています。 それについてはいくつかの利点を挙げられます。

1 樹木への負担の軽減

冬の落葉期は生理活動が停止され、休眠します。  活発な夏季に比べ、負担が少ないと考えられます。 逆に夏季の剪定は、急に枝葉が少なくなることで、急な光合成量、蒸散量、の減少により樹勢が弱まると同時に根も傷みます。  

2 病原菌の罹患リスクの軽減

比喩的ですが樹木も風邪をひきます。
 人は口や粘膜を介してウイルス等に罹患しますが、樹木は器官をもたず厚い樹皮や細胞によって保護されています。  しかし、枝が折れたり昆虫や動物によって傷が付けられると、昆虫を介したり浮遊している病原菌の胞子等が付着し、樹木内部まで腐れが進行していきます。 
そしてその胞子を生み出し散布させるのが春~秋の温かい時期とされています。
つまりその時期に剪定により生きた断面をさらすことは、樹木が腐朽菌に侵されるリスクが高まる事を意味します。大きな切り口をさらすような剪定では、極力、冬季の剪定が好ましいと思われます。

3 作業効率

これは人によると思いますが、葉が無い木立では絡んだ枝や擦れている枝など選別が容易です。樹全体のバランスも見やすいかと思います。 葉が無いことで、発生する剪定枝もかさばらずに済みます。

今のところ、思いつく利点は今のところ以上です。 時期に関しては、落葉樹はできるだけ葉が無い時期に行うことをお勧めいたします。

剪定の時期も大切ですが、「切る角度」や「落とす枝の量」の方も重要です。それについてもいずれ、まとめて記事にしていきたいと思います。へば

 

コメントを残す